地球に落ちているものを並べるプロジェクト   The Project of

意味のない事に意味があるかもしれない

 遊びとアートの接点をテーマにしたH&A projectの作品を写真とビデオ映像で展示します。

 H&A projectはグラフィックデザイナーの橋本修一とパートナーのイラストレーター橋本あやめの2人が、1997年頃から旅と散歩を通して展開するプロジェクト。「地球に落ちているものを並べるプロジェクト」はその代表プロジェクトです。

 それは旅先のささいな遊びから始まりました。
 元気でないといけない社会、答えと結果を求める社会構造。頑張らなければならない社会にふと疑問を感じた時、プロジェクトがスタートしました。無意味と無駄、遠回りと散歩。非合理性と、あ・そ・びがコンセプトです。

 人は記念写真を撮る事で旅先の風景などの思い出を持ち帰ります。H&A projectは、自然の中に落ちている物を、その場に並べて写真を撮る事で、そこで<あ・そ・ん・だ>時間と記憶を持ち帰ります。彼らの旅は山や森、海、そして街角など地球の上を散歩する事です。それは遠方の地とは限りません。日常のちょっとした散歩も、H&A projectの魔法にかかれば素敵な旅に変身します。

 このプロジェクトは何時でも、何処でも、誰でも参加できて楽しめます。ルールはいたって簡単です。地面に落ちている物を拾って好きな場所に並べるだけ。ただ、これだけです。並べた結果が気に入ったならスケッチをしたり、写真を撮ったり、気のきいた言葉を思い浮かべてみたり、ただボーと眺めていたり、あなたの自由です。太陽や風雨があなたの意志を偶然性のマジックを味方に素敵に演出してくれるかもしれません。

<遊び方マニュアル>
 ルールは簡単ですが、守らなけれいけない事が二つあります。
 一つはあくまで、自然に地面に落ちている物を並べるというルールです。樹の枝に美しい木の葉や花が咲いていても、決して取ったり採集して並べてはいけません。決して自分の手で落としてはいけません。このルールを守る事によってこそ、この遊びが面白くなるのです。このルールを破るとこの遊びは成立しません。 安易に美しい木の葉や貝殻などの素材を集めて写真を取ることではなく、あくまで自然の中で落ちている物と出会い、遊ぶことが目的です。たとえ落ちてふまれてぼろぼろになった木の葉であっても、あなたが興味を持ったら、それが一番素敵な素材なのです。 あなたが何に興味を示すか、それが一番大切なことです。
 もう一つのルールです。並べた物は、風雨、風化、打ち寄せる波などで自然に簡単に消滅するものでなければなりません。ケルンの様に大きな石を積み上げた記念碑や環境にダメージを与える物になってはいけません。

 なんのためにこのプロジェクトをするのか?それは、仕事や勉強の様に目的や意味を考えてはいけません。「意味の無いことに意味があるかもしれない」と呪文を繰り返し唱えます。

 もう一つこのプロジェクトを成功に導く呪文を紹介します。「ゆっくり歩けば時間は友達」この言葉を心の中で、 繰り返し唱えながら歩きましょう。もし、時間と仲良くして素敵な時を過ごすことができたら、それは、あなたにとって、世界中でたった一つだけの宝物になるでしょう。1時間で歩く事の出来る道を5時間もかけて歩くことが素敵に感じられたら、世の中が少しだけ素敵に変わり始めるかもしれません。